第一部外路-02


・・・2・・・



・・翌朝・・

昨日は異常がなかった
私は起きると大きいあくびを一つして・・それでも指揮官らしく、各班に連絡をとる


「おはようバート・・・スカイ・イージス側に異常は?」
「・・・・・・・・・・・はっ!い、異常ありませんリィズさ・・・た、隊長殿!!」
「無理しないで交代してさっさと寝なさい、あんたは。」


旗艦であるスカイ・イージスは衛星軌道を回っている
現在は私のをを含むギア数機と・・艦を動かすのに必要な数名と、緊張気味の新人操舵士・バートが乗り込んでいる


「整備班、グラスバードとSG-7は問題ない?」
「おーよ嬢ちゃん、いつでもいけるぜィ。」


朝から元気ねぇ、整備班・・
・・まぁ仕事をしっかりしてくれるんだし元気なのは良い事よねー。


「ラルフ、中の様子は?」
「・・・・・すかー・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」


・・あんた、寝ずの番を任せたハズだけど?


「・・・ゲイル、まさかあんたも寝てんじゃないでしょうね?」
『失礼な、VIPの名前と部屋、ウェイターの動向把握から各人への挨拶も完璧、見晴らしの良い階段下で今の今まで警戒していたぞ。』
「ほー、頼りになるわねぇ・・やっぱあんた雇って正解だったわ♪」
『お誉めに預かり光栄です、と言っておこう。まぁこういう場は慣れているからな』


ラルフと共に中に入ってるもう一人、ゲイル=プライズマン一尉
元一流会社のエリート社員はやっぱり違う・・犯罪者でもあったけど。
体術が強いだけのラルフとはひと味違い、真面目で頼りになるから警備要員に回されたんだし


『・・それはそうと、怪しい事が少しあったのだが・・』
「何よ」
『昨日の夕食会の後から全く姿を現さない女性が一人いてな・・・その部屋にも少々おかしな点を見つけた』
「おかしな点?」
『・・誰もいない部屋に女性モノのブランドバッグが置いてあったのだが、タイマーのような音が聞こえてきて・・』
「・・・「タイマー」・・ねぇ・・・爆弾でも入ってたんじゃないの?中身は?」
『見ていない、俺は紳士だからな。』
「・・・・・・・」


その瞬間、おそらくその「怪しい部屋」が爆発を起こした。
衝撃と周囲から響く爆発の反響音で騒然となる


「大バカ!ラルフたたき起こして現場に急行!」
『す、すまん!癖が抜けんのも問題だな・・』
「・・全くよ。」


###########################

「大丈夫ですか、皆さん!」
「はっ、大きな問題はありません!」


シスレーが駆けつけた時には、被害にあった人物がゼロである事が判明した後だった
部屋一つが吹き飛んだだけで、隣の部屋はおろか施設へのダメージは極小だったのである。


「・・・しかし・・この爆発の規模・・解せんな」
「ええ・・」
「日本食・・」


ゲイルとシスレーは互いに何か思う所があるようだが・・
・・寝ぼけ頭のラルフは朝食の事で頭がいっぱいのようだった。


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・・夜・・

百余名のVIPが集まった本当の理由は、二日目の夜・・つまりこれからのためらしい。。
爆発の事もあって警備は厳重化し、シスレー達の機動隊もSG-8、10を稼働させての警備になっている
私たちのSG-7も3機だけだが稼働している状態だ。

しかし内部は変わりなく、パーティー会場には昨日と同様に高級感漂う豪華なセットが施されていた
違ったのは・・


「ごきげんよう・・皆様。」


使い慣れない言葉遣いに苦戦するこの私と、今日は目が覚めているレオネがドレス姿で混ざっている事だった。


「ゲイルさんもぉ・・・お食事、食べた方が良いですよぉ?」
「い、いえ・・・わ、わわ私は警備という任務がっ!!」
「はい、あーん」


・・すっかり言い忘れていたけど、レオネとゲイルはいつの間にかカップルになっていた間柄
真面目な彼もレオネが一緒だとどうも違うノリになる。

・・フンだ、勝手にラブラブしてなさいよバカップル。


「隊長、今日のシェフのお薦めはカモ肉のバターライス添えだって話っスよ♪」
「・・・・あんたは一生食べてなさい」

びし、とラルフに脳天ちょっぷを一撃。


そうこうしている内に・・オペラ劇場のようになった会場の、ステージ側のカーテン幕が開いた


『今朝方はやや混乱もありましたが、予定通り発表会に移らせていただきます』


・・小太りに燕尾服の司会がマイクを持ち、突っ立っていた。
その後ろには巨大なスクリーンとなにやら大がかりそうな機械がおいてある


「アレ・・の発表が目当てなのだろうな。」
「ン・・そうみたいね」


まぁ体裁もある、ワインでなく水の入ったグラスを一口飲んで・・暗くなる会場の中、私たちはステージに注目した


『ロストテクノロジィを応用したこのエンジン機関・・その環境操作能力は現状の性能を凌駕するもので・・』


スクリーンには「コロニー」の概要が映し出されていく
どうやらあの機械はオリジナルの「エンジン」とやららしい。
そして、アレを使う事で天気はおろか、重力制御から何からを一つでやってしまう「魔法の結晶」が作れる事もわかった
・・なるほど、するとVIPっていうのはコロニー業者やステーション管理者か。

しかし、それでも何故VIPが集まる理由が知らされなかったのか、はたまたリィズ達が派遣されてきた理由の説明にはならない


「私たちなんか派遣するよりどこかの師団でも呼んだ方がよかったんじゃないの?」
「そうですねぇ・・厳重な警備が必要ならぁ・・・実験小隊よりも普通は大隊や師団にぃ・・」
「そんなに暇じゃないって事じゃないスか?」


どうやら脳天ちょっぷが足りなかったようだ
・・私は念入りにラルフの脳天を打って差し上げた。


「コロニーサイズの環境を制御するシステムか・・兵器転用された日にはマズい事態になりそうだ」
「どういう事よ、ゲイル・・」


言いかけたか否か、建物が揺れた


「!?」
「ラルフ君!アレの確保だ!」
「了解っス!」

ゲイルとラルフはステージ上に登り、機械の周囲を警戒する

私とレオネは皆に伏せるよう指示し、ほかのS.G隊員と共に同じく警戒行動に移る


「・・・下か!」

ばきぃぃっ!!


ゲイルの声がしたのと同時にステージが砕け、下からギアの腕が飛び出し・・「エンジン」を掴んでいた
・・・やがてその本体が下から現れ・・天井を破り、暗い夜空へ飛び上がった



『確かに頂いたぜェ!』
「まさか・・最初から地下に潜んでいたって言うの!?」


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